10月使用分の電気・ガス代はなぜ一気に上がる?東京電力9561円、補助金終了だけではない理由
「補助金が終わるだけで、電気代が1カ月に1,000円以上も上がるの?」
9月29日に発表された10月使用分の料金を見て、そう感じた人も多いかもしれません。
東京電力の標準家庭モデルでは、電気料金が前月より1,286円上がって9,561円。東京ガスも744円上がって6,488円となります。関西電力の発表も加わり、大手電力10社と大手都市ガス4社はいずれも前月より上昇することが確認されました。(テレビ朝日 · 関西テレビ)
ただ、今回の値上がりを「政府の補助金がなくなったから」とだけ理解すると、少し足りません。
実際には、夏の電気・ガス料金支援の終了に加え、燃料・原料価格の変動や、電気を家庭まで届ける送配電網の利用コストである託送料金の見直しなどが重なっています。 東京ガスでは、11月検針分から料金体系そのものの改定も始まります。(経済産業省 · 東京ガス)

※ 本文中の画像は、記事の理解を助けるためにAIで制作したイラストです。実際の写真ではなく、人物・場所・状況の表現が実際と一部異なる場合があります。
ここで一つ、表現上の注意があります。
経済産業省の支援制度では「2026年9月使用分=10月検針分」と整理されています。したがって、ニュースでいう「10月使用分」は、各社では11月分・11月検針分として請求されるケースが多くなります。実際の使用期間や請求日は契約・検針日によって異なります。(経済産業省 · 東北電力)
では、1,000円を超える値上がりはどこから来るのでしょうか。
まず、10月使用分はいくら上がる?

発表された標準家庭向け料金を並べると、値上がりが全国規模であることが分かります。
| 会社 | 10月使用分のモデル料金 | 前月比 |
|---|---|---|
| 北海道電力 | 10,552円 | +1,286円 |
| 東北電力 | 9,690円 | +1,486円 |
| 東京電力 | 9,561円 | +1,286円 |
| 中部電力 | 9,647円 | +1,492円 |
| 北陸電力 | 7,970円 | +835円 |
| 関西電力 | 8,251円 | +1,318円 |
| 中国電力 | 9,158円 | +1,326円 |
| 四国電力 | 9,372円 | +1,412円 |
| 九州電力 | 8,115円 | +1,239円 |
| 沖縄電力 | 10,752円 | +1,578円 |
9社分はテレビ朝日の29日夕方の報道、関西電力は同日夜の追加発表で確認できます。(テレビ朝日 · 関西テレビ)
都市ガスも大手4社すべてで値上がりします。
| 会社 | 10月使用分のモデル料金 | 前月比 |
|---|---|---|
| 東京ガス | 6,488円 | +744円 |
| 大阪ガス | 6,902円 | +572円 |
| 東邦ガス | 7,118円 | +553円 |
| 西部ガス | 6,932円 | +435円 |
(テレビ朝日)
ただし、各社の「標準家庭」は契約条件や想定使用量が同じとは限りません。
そのため「沖縄が一番高いから、自分の家も必ずこの順番になる」という比較ではなく、各地域で前月からどれほど負担が変わるのかを見る数字と考えた方が分かりやすいでしょう。
補助金がなくなるだけで、実際いくら高くなる?

政府は2026年7~9月使用分について、電気・都市ガス料金を使用量に応じて直接値引きしていました。
家庭などの低圧電気は7月と9月が3.5円/kWh、8月が4.5円/kWh。都市ガスは7月と9月が14円/㎥、8月が18円/㎥です。支援対象は9月使用分までで、10月使用分には同じ値引きはありません。(経済産業省)
東京電力の平均モデルは、従量電灯B・30A、月260kWhです。(東京電力ホールディングス)
9月使用分までの3.5円/kWhの支援をこのモデルに当てはめると、
260kWh × 3.5円 = 910円
です。
つまり東京電力のモデル料金が前月比1,286円上がるうち、約910円分は前月まであった政府支援がなくなる影響に相当します。
差し引くと約376円ですが、この数字をそのまま一つの料金項目の値上げ額と見るのは適切ではありません。燃料費調整や託送料金見直しなど、複数の要因が料金計算に反映されるためです。
東京ガスでも同じ考え方ができます。
東京ガスが料金公表で使う標準家庭は月30㎥です。9月使用分までの支援14円/㎥を掛けると、
30㎥ × 14円 = 420円
となります。(東京ガス)
しかし実際のモデル料金上昇幅は744円です。
こちらも、補助金終了だけでは値上がり全体を説明できないことが分かります。
では、残りは何?「燃料費調整」が効いてくる

電気料金には、原油・LNG・石炭などの燃料価格の変動を反映する「燃料費調整」という仕組みがあります。
重要なのは、燃料価格が今日動いたから、明日の電気代が同じ幅で動くわけではないことです。
一定期間の燃料輸入価格を平均し、その数字が時間差を置いて料金へ反映されます。
例えば東北電力は、2026年11月分(10月使用分)の料金について、6~8月の平均燃料価格を使って燃料費調整単価を算出しています。(東北電力)
今回の値上がりについては、政府支援の終了に加え、LNGなどの資源価格上昇も要因として報じられています。(テレビ朝日)
夏に政府の支援が入っていた時期にも、燃料価格そのものは動いていました。
そのため10月使用分は、値引きがなくなる動きと、燃料価格の変動が料金に反映される動きが重なったと見ると理解しやすくなります。
「託送料金」まで上がるって、そもそも何のお金?

「託送料金」は、電気を家庭まで運ぶ送電線や配電線などのネットワークを小売電気事業者が利用するために支払う料金です。
生活感覚でいえば、電気を運ぶための「道路代」に近いと考えると分かりやすいでしょう。
2026年11月1日からは複数地域で託送料金が見直され、小売料金にも反映されています。例えば東北電力の標準モデルでは、11月分9,690円の中に託送料金変更に伴う485円の増加影響が含まれています。(東北電力)
関西電力でも、11月支払い分は前月より1,318円上昇し、その内訳として政府支援終了の影響910円、送電線の使用料金などの見直し408円と説明されています。(関西テレビ)
つまり今回の電気料金は、
補助がなくなった
だけではなく、
電気をつくるコストや、電気を運ぶコストの変化も重なっている
ということです。
東京ガスはなぜ744円も上がる?電気とは少し事情が違う

東京ガスの標準家庭では、10月使用分に相当する料金が6,488円となり、前月より744円上がると報じられています。(テレビ朝日)
ここにも政府支援の終了がありますが、それだけではありません。
東京ガスは2026年10月1日に料金体系を改定し、11月検針分から新しい料金を適用します。理由として、物価上昇による諸経費の高騰やガス販売量の減少などを挙げています。(東京ガス)
さらにガスには、LNGなどの輸入原料価格を料金へ反映する「原料費調整制度」があります。
東京ガスは2026年10月検針分について、5~7月の平均原料価格をもとに東京地区等の単位料金を前月より1㎥あたり10.23円上方調整すると発表していました。(東京ガス)
したがって東京ガスでは、
政府支援の終了
+ 原料費の変動
+ 料金体系そのものの改定
を分けて考える必要があります。
なぜ会社によって値上がり幅がこんなに違う?
会社ごとに料金の計算式と置かれている状況が違うからです。
今回の値上がり要因を整理すると、次のようになります。
| 要因 | 何が変わる? | 会社・地域で差が出る理由 |
|---|---|---|
| 政府の支援終了 | 電気・ガスの値引きがなくなる | 使用量が違えば値引き額も違う |
| 燃料費・原料費調整 | 原油・LNG・石炭価格などを反映 | 電源構成や料金制度が異なる |
| 託送料金 | 送配電網を使うコスト | 地域ごとの送配電網の費用が違う |
| ガス料金改定 | 基本料金や単価そのものを変更 | ガス会社ごとの経営環境が違う |
例えば同じ「電気代が1,300円上がる」というニュースでも、ある地域では補助終了の影響が大きく、別の地域では託送料金の見直しも大きく効きます。
だから全国の料金表を見る時は、最終金額だけでなく「なぜ上がったのか」まで見る方が重要です。
自分の請求書は本当に1286円上がる?

必ずしも1,286円上がるわけではありません。
東京電力の9,561円は、従量電灯B・30A、月260kWhを基準にしたモデル料金です。東京電力が示す平均モデルの条件も、従量電灯B・30A、月260kWhとなっています。(東京電力ホールディングス)
実際の請求額は、
- 何kWh使ったか
- 契約している料金プラン
- オール電化かどうか
- ガスを何㎥使ったか
- 検針日の違い
などで変わります。
特に10月は、真夏よりエアコン使用量が減る家庭もあります。
料金単価が上がっても、使用量が大きく減れば、実際の請求総額がモデル料金と同じ幅で増えるとは限りません。
請求額を見る時は「先月より何円高いか」だけでなく、使用量そのものが何kWh、何㎥だったのかを一緒に確認すると原因が分かりやすくなります。
では、これから電気・ガス代はさらに上がるの?
10月使用分だけを見て、これから毎月同じ幅で上昇すると決まったわけではありません。
燃料費調整や原料費調整は、原油・LNG・石炭の輸入価格や為替などによって今後も上下します。
一方、今回の夏の電気・ガス料金支援は2026年7~9月使用分を対象にした措置で、10月使用分は対象外です。(資源エネルギー庁)
今後見るべきなのは、
- LNG・原油などの国際価格
- 円相場
- 各社の燃料費・原料費調整単価
- 政府が新たな料金支援を打ち出すか
の4点です。
日本は多くのエネルギー資源を海外から輸入しているため、海外の供給不安や為替の変化が時間差を置いて家庭の料金に影響することがあります。
【結論】このニュースは、こう理解すればいい
2026年10月使用分の電気・ガス料金が大きく上がる最大のきっかけは、7~9月に行われていた政府の料金支援が終了することです。
東京電力の標準家庭では、9月使用分までの3.5円/kWhの値引きがなくなるだけで、260kWhなら約910円分の負担増に相当します。
ただし、東京電力のモデル料金上昇幅は1,286円です。
今回の値上がりは、補助終了だけではなく、燃料費の変動や託送料金の見直しなども重なった結果と見る必要があります。
都市ガスも同様で、東京ガスの場合は補助終了と原料費の変動に加えて、11月検針分から料金改定も始まります。
「補助金がなくなったから高くなった」とだけ見るのではなく、
補助
+ 燃料・原料価格
+ 電気を運ぶ費用
+ 各社固有の料金改定
という複数の層が重なって毎月の光熱費が決まる、と考えると今回のニュースが分かりやすくなります。
10月の電気・ガス料金、気になる疑問から読み解く
Q. 東京電力の電気代は本当に9561円になりますか?
9,561円は従量電灯B・30A、月260kWhを使う標準家庭モデルの金額です。実際の請求額は使用量や契約プランなどによって異なります。
Q. なぜ10月使用分なのに11月に請求されることがあるのですか?
電力・ガス会社では「使用月」と「検針・請求月」がずれることがあります。経済産業省の支援制度でも「9月使用分(10月検針分)」と整理されており、実際の期間は契約や検針日により異なります。
Q. 電気料金の補助はいくらでしたか?
2026年9月使用分では、家庭などの低圧電気は3.5円/kWh、都市ガスは14円/㎥の値引きです。8月使用分は電気4.5円/kWh、都市ガス18円/㎥でした。
Q. 東京電力で補助終了の影響はいくらですか?
標準家庭の260kWhで計算すると、3.5円×260kWhで約910円です。モデル料金の前月比1,286円上昇の大きな部分を占めます。
Q. 託送料金とは何ですか?
送電線や配電線などのネットワークを小売電気事業者が利用するために支払う料金です。最終的には電気料金を構成するコストの一部になります。
Q. 東京ガスが744円上がるのも補助終了だけが理由ですか?
いいえ。標準家庭30㎥なら支援終了の影響は単純計算で約420円です。原料費の変動や、11月検針分から始まる東京ガスの料金改定も関係します。
Q. 電気・ガス代は今後も毎月上がり続けますか?
決まっていません。燃料・原料価格や為替が下がれば調整額が下がる可能性もあります。反対に輸入エネルギー価格が上がれば、時間差を置いて料金へ反映される可能性があります。
Q. 家庭では何を確認すればいいですか?
まず請求書やアプリで使用量を確認してください。前月より料金が上がっていても、単価上昇なのか使用量増加なのかで原因は変わります。
今日のニュースほどき、理解の助けになりましたか?🙂
これからも、ニュースの「なぜ?」をやさしく、わかりやすくほどいていきます!
主な情報源
10月使用分の料金・各社の値上がり
テレビ朝日「電気・ガス料金 10月使用分は値上がり 燃料価格高騰などうけ」
政府の電気・ガス料金支援
経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援」
東京電力エナジーパートナー「国による電気・ガス料金支援について」
ガス料金・料金改定
東京ガス「電気・ガス料金負担軽減支援事業補助金に伴う値引きについて」
東京ガス「原料費調整制度に基づく2026年10月検針分のガス料金について」
標準家庭モデル
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