東山紀之氏はなぜSMILE-UP.社長を退任?補償が終わっていないのに「弁護士社長」へ替わる理由
「補償が終わったから、東山紀之さんは社長を辞めるの?」
9月28日の発表を見て、まずそこが気になった人も多いかもしれません。ところが、答えは逆です。SMILE-UP.は被害補償を終えるのではなく、補償を続けたまま経営トップを交代します。
東山紀之氏は任期満了に伴い9月末で取締役を退任し、10月1日からは弁護士でチーフ・コンプライアンス・オフィサー(CCO)の山田将之氏が代表取締役社長兼CCOに就きます。会社は、その理由を「今後の補償業務では法的な手続きや専門的な判断を必要とする局面が中心になるため」と説明しています。(テレビ朝日)
では、なぜ今になって「芸能人出身の社長」から「弁護士社長」へ替えるのでしょうか。

※ 本文中の画像は、記事の理解を助けるためにAIで制作したイラストです。実際の写真ではなく、人物・場所・状況の表現が実際と一部異なる場合があります。
ポイントは、東山氏が退くことよりも、SMILE-UP.という会社の仕事そのものが、この3年間でどこまで変わったのかにあります。
まず何が変わる?東山紀之氏は9月末で退任、10月1日から山田体制へ

変わるのはSMILE-UP.の経営体制です。東山氏は任期満了で退任し、山田将之氏が10月1日付で代表取締役社長兼CCOになります。藤島ジュリー景子氏は代表取締役として留任します。(テレビ朝日)
| 9月30日まで | 10月1日以降 | |
|---|---|---|
| 代表取締役社長 | 東山紀之氏 | 山田将之氏 |
| CCO | 山田将之氏 | 山田将之氏が社長と兼務 |
| 藤島ジュリー景子氏 | 代表取締役 | 代表取締役として留任 |
東山氏は2023年9月、旧ジャニーズ事務所の社長に就任し、同年末でタレント活動から引退すると表明しました。その後、会社はSMILE-UP.へ社名を変更し、被害者との対話と補償に特化する会社へ移っています。(テレビ朝日 · SMILE-UP.)
今回の交代は「途中で社長が突然辞める」というより、東山氏の任期満了に合わせて、補償会社としての次の段階に経営体制を合わせ直す動きだと見ると分かりやすくなります。
補償が終わっていないのに、なぜ社長を替えるの?

会社が挙げた理由はかなりはっきりしています。今後は法的な手続きや専門的な判断を必要とする局面が中心になると見込んでいるためです。(テレビ朝日)
東山氏の3年間では、被害を申告した人との直接面談や謝罪が大きな役割の一つでした。9月28日の会見では、在任中に127人と面会したと説明しています。退任後も、面談を希望する人とは会っていきたいとの考えを示しました。(テレビ朝日)
一方、補償手続きでは、提示された金額に同意できない場合の再評価や、個別事情によって裁判・調停などの公的な手続きが必要になるケースもあります。SMILE-UP.自身も以前から、補償制度で解決できない場合には裁判や調停を案内することがあると説明してきました。(SMILE-UP. · SMILE-UP.)
会社の説明を整理すると、今回の交代は「補償が終わったから社長を替える」のではありません。
大規模な申告受付と面談を進めてきた段階から、残る案件を法務・コンプライアンスの専門性を強く使って処理する段階へ移るため、トップの役割も変えるという考え方です。
被害補償はどこまで進んだ?578人に支払い済み

補償はかなり進んでいますが、まだ終わってはいません。
9月28日の会見で示された数字では、補償の申告は合計1047人。587人に補償内容を通知し、582人が内容に合意、そのうち578人への支払いが完了しています。また、231人には補償を行わない旨を連絡し、226人とは連絡が取れない状態とされています。(テレビ朝日 · 熊本日日新聞(共同通信配信))
| 項目 | 人数 | どういう意味? |
|---|---|---|
| 補償の申告 | 1047人 | これまでに申告した人の総数 |
| 補償内容を通知 | 587人 | 被害者救済委員会が補償内容を提示 |
| 補償内容に合意 | 582人 | 提示内容に合意した人 |
| 補償金を支払い | 578人 | 実際の支払いまで完了した人 |
| 補償を行わない旨を連絡 | 231人 | 在籍・被害の確認結果などを踏まえ会社が連絡 |
| 連絡が取れない状態 | 226人 | 手続きを進めるための連絡が途絶えている人 |
ここで注意したいのは、この数字を全部足したり、「1047人のうち578人だから55%しか終わっていない」と単純に計算したりできないことです。
587人の中に582人の合意者が含まれ、その582人の中に578人の支払済みの人が含まれています。つまり、同じ人が手続きの進行に応じて複数の段階に入っているからです。
9月15日時点でも、会社は連絡が取れている821人のうち818人について、補償内容の通知または補償を行わない旨の連絡まで進んだと説明していました。(SMILE-UP.)
だからこそ、「大半の案件で何らかの判断が出た」と「補償問題が終わった」は同じ意味ではありません。合意に至っていない案件、連絡が取れない人、新たな申告、係争中の案件などが残っています。
なぜ山田将之弁護士なの?突然呼ばれた外部の人ではない

山田将之氏は、今回初めてSMILE-UP.に入る弁護士ではありません。2023年9月30日からCCOとして、すでに約3年間、同社のコンプライアンス体制に関わってきた人物です。(SMILE-UP.)
会社が公表している経歴では、山田氏は2005年に弁護士登録、2013年にニューヨーク州弁護士登録。西村あさひ法律事務所などで勤務し、2023年にSMILE-UP.の前身となる会社へCCOとして招かれました。(SMILE-UP.)
CCOは単なる「社内の法律相談役」ではありません。同社の説明では、人権方針、内部監査、内部通報制度、法令順守などを統括し、経営から独立した立場で取締役会に意見を述べる権限も持たされていました。
その人物が今度は社長を兼ねるわけです。
今後の補償で再評価、係争、法的判断などの比重が高まるのであれば、これまで制度の内側を見てきた法務・コンプライアンスの責任者をトップに置くという流れには一定の連続性があります。
SMILE-UP.とSTARTO ENTERTAINMENTは何が違うの?

ここは今回のニュースで最も混同しやすい部分です。
SMILE-UP.は被害補償を担う会社で、STARTO ENTERTAINMENTはタレントのマネジメントやエンターテインメント事業を担う別会社です。
2024年4月、当時SMILE-UP.側にいた28組295人のタレントはSTARTOと契約して移りました。SMILE-UP.はSTARTOと資本関係を持たず、経営にも関与しないと説明しています。(SMILE-UP. · STARTO ENTERTAINMENT)
| 会社 | 主な役割 | 今回の社長交代との関係 |
|---|---|---|
| SMILE-UP. | 被害者との対話、被害補償、心のケアなど | 東山氏が退任し、山田氏が社長へ |
| STARTO ENTERTAINMENT | タレントとの契約、マネジメント、エンタメ事業 | 今回のSMILE-UP.社長交代とは別 |
ですから、東山氏がSMILE-UP.社長を退任したからといって、STARTOのトップが変わるわけでも、所属タレントの契約先が変わるわけでもありません。
「旧ジャニーズの会社」というひとまとめのイメージで見ると分かりにくいのですが、2024年以降は、補償を担う会社と、芸能活動を担う会社を分けて考える必要があります。
東山紀之氏は社長退任後、芸能界に戻るの?
現時点では、芸能界復帰は決まっていません。
9月28日の会見で東山氏は、退任後に具体的に何をするかは決まっていないと説明しました。芸能界復帰について問われた際も、現時点では具体的に考えていないという趣旨の回答をしています。(テレビ朝日)
一方で、被害者との関わりまで終えるわけではないとしています。社長という肩書きを離れてもこの問題に向き合い、面談を希望する人とは今後も会う考えを示しました。
つまり今回確認できたのは「社長退任」であって、「芸能界復帰決定」ではありません。
ここを一緒にしてしまうと、ニュースの意味が変わってしまいます。
SMILE-UP.はいつまで残る?会社は「補償後に廃業」の方針

SMILE-UP.は、もともと通常の芸能会社として長く残ることを前提にした会社ではありません。
2023年10月の社名変更時、会社は被害者との対話と補償に特化し、その役割を終えた後に廃業する方針を公表しました。(SMILE-UP.)
ただし、廃業時期はまだ決まっていません。 9月28日の会見でも、補償を終えた後に廃業する方針は維持しつつ、時期は未定と説明されています。(テレビ朝日)
さらに2026年6月からは、「心のケア相談窓口」で新たな金銭補償の申告も受け付けています。(SMILE-UP.)
このため、今後見るべきなのは「東山氏がいつ芸能界に戻るか」だけではありません。
山田新体制の下で、残る補償案件、連絡が取れていない申告者、再評価や係争案件、新たな申告にどう対応し、最終的に会社の役割をどう終えるのか。そこまでがSMILE-UP.の仕事です。
【結論】このニュースは、こう理解すればいい
東山紀之氏のSMILE-UP.社長退任は、被害補償が終わったことを意味しません。
東山氏は任期満了で退任し、10月1日からは、2023年からCCOとして同社のガバナンスやコンプライアンスを担ってきた山田将之弁護士が社長を兼ねます。
会社が示した理由は、今後の補償業務で法的な手続きや専門的判断の比重が高まるためです。9月28日時点で578人への補償金支払いは完了していますが、係争中の案件や連絡が取れない申告者、新たな申告への対応は続きます。
今回のニュースは「補償が終わったから東山氏が去る」のではなく、「補償を最後まで進めるために、会社の仕事の段階に合わせてトップを替える」と理解すると見えやすくなります。
そして、東山氏の芸能界復帰は現時点で決まっていません。
東山紀之氏・SMILE-UP.、気になる疑問から読み解く
Q. 東山紀之氏はなぜSMILE-UP.社長を退任するのですか?
任期満了に加え、会社が今後の補償業務では法的手続きや専門的判断が中心になると見込んだためです。10月1日から山田将之弁護士が社長兼CCOになります。
Q. 東山紀之氏が退任すると被害補償も終わるのですか?
いいえ。SMILE-UP.は、係争中の案件を含めて必要な手続きを最後まで続けると明言しています。心のケアや新たな補償申告の受付も継続します。
Q. 被害補償は現在どこまで進んでいますか?
9月28日時点で1047人から申告があり、587人に補償内容を通知、582人が合意し、578人への支払いが完了したと説明されています。
Q. 新社長の山田将之氏はどんな人ですか?
弁護士で、2013年にはニューヨーク州弁護士にも登録されています。2023年9月からSMILE-UP.のCCOを務め、人権・内部監査・内部通報制度などコンプライアンス分野を統括してきました。
Q. 山田将之氏は今回初めてSMILE-UP.に入るのですか?
いいえ。約3年前からCCOとして会社の改革に関わってきました。今回の社長就任は、外部から突然トップを連れてくる形ではありません。
Q. 藤島ジュリー景子氏も退任するのですか?
いいえ。今回の新体制でも代表取締役として留任し、引き続き補償業務にあたると説明されています。
Q. SMILE-UP.とSTARTO ENTERTAINMENTは同じ会社ですか?
いいえ。SMILE-UP.は被害補償を担う会社、STARTO ENTERTAINMENTはタレントのマネジメントやエンターテインメント事業を担う会社です。両社は資本・経営が分離されています。
Q. 東山紀之氏は社長退任後に芸能界へ復帰するのですか?
現時点では決まっていません。本人は9月28日の会見で、具体的な今後の活動はまだ決めていないと説明しています。
今日のニュースほどき、理解の助けになりましたか?🙂
これからも、ニュースの「なぜ?」をやさしく、わかりやすくほどいていきます!
主な情報源
9月28日の社長交代・記者会見
テレビ朝日「SMILE-UP. が経営体制変更を発表、東山紀之社長が退任へ」
テレビ朝日「緊急会見で発表『これから模索』スマイルアップ・東山社長が退任へ」
テレビ朝日「『SMILE-UP.』東山紀之社長が退任へ 『補償を全うする気持ち変わらず』」
熊本日日新聞(共同通信配信)「スマイル社、東山紀之社長退任へ 任期満了、性加害『区切りない』」
テレビ朝日「『社長という立場を離れても、この問題に向き合う』東山紀之氏がSMILE-UP.社長退任へ」
被害補償の進捗・手続き
SMILE-UP.「現時点までの被害補償の状況(2026/9/15)とお願い」
SMILE-UP.の役割・山田将之氏・STARTOとの分離
SMILE-UP.「故ジャニー喜多川による性加害問題に関する再発防止策の実行等についてのお知らせ」
SMILE-UP.「弊社の社名変更と新会社設立及び補償状況について」
SMILE-UP.「今後のファンクラブおよび音楽原盤等の版権の取り扱い方針について」
STARTO ENTERTAINMENT「株式会社STARTO ENTERTAINMENT 始動します」
あわせて読みたい
STARTO ENTERTAINMENTでは、所属グループの活動終了後はどうなる?
SMILE-UP.とSTARTO ENTERTAINMENTが別会社だと分かると、次に気になるのはSTARTO側で所属タレントやグループがどう扱われているかです。WEST.の活動終了では、グループ活動の終了と事務所退所が別の話であることを、直近の具体例から整理できます。