食料品の消費税が8%から1%へ? なぜ0%ではなく1%、何が対象になるのか

「食料品の消費税が1%になる」というニュースを見て、まず思うのはこれではないでしょうか。

「そこまで下げるなら、なぜ0%にしないの?」

そしてもう一つ。

「スーパーで買うものは全部1%になるの? 外食やお酒も同じ?」

2026年9月15日、自民党と日本維新の会は飲食料品の消費税率を引き下げる大綱を決定し、政府も同日、この大綱を閣議決定しました。現在8%の対象となっている飲食料品について、法案が成立すれば2027年4月1日から2年間、税率を1%にする計画です。 (国税庁 · 自由民主党)

ただし、ここには大事な点があります。

「1%への引下げ」はまだ法律として成立したわけではありません。国税庁も、今後法案が国会に提出され、審議を経て可決・成立した場合の内容だと明記しています。 (国税庁)

食料品の消費税が8%から1%へ引き下げられる計画と、なぜ0%ではないのかを示す代表イラスト

そして「1%」は、単に0%を1%に言い換えたものでもありません。

税率を1%にしたうえで、一定の人には所得に応じた支援金を組み合わせ、政策全体として食料品の消費税負担を「実質ゼロ」に近づけるという二段構えになっています。

まず何が変わる? 8%はいつから1%になるのか

法案が成立した場合、現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品は、2027年4月1日から2029年3月31日まで1%になります。

2年間が終わった後は、現在の大綱では8%に戻す設計です。 (内閣官房)

食料品の消費税率が8%から1%になり再び8%へ戻る予定を示したタイムライン
時期 食料品の税率 制度上の位置づけ
現在 8% 軽減税率
2027年4月~2029年3月 1% 法案成立を前提とした2年間の特例
2029年4月以降 8% 現在の大綱では元の税率へ戻す

ここでいう1%は、国税分0.78%と地方消費税分を合わせた税率です。大綱は、現在の軽減税率の対象となっている「飲食料品」にこの特例税率を適用するとしています。 (大綱本文)


なぜ0%ではなく、わざわざ1%なのか?

政府が説明している最大の理由は、実施までのスピードです。

政府は、税率を1%にすれば0%にする場合より事業者のシステム改修期間を短縮でき、2027年4月からの実施が可能になると説明しています。自民党の小野寺五典税制調査会長も「導入までのスピードを重視した」と説明していました。 (自由民主党 · 国税庁)

食料品の消費税を0%ではなく1%にする理由としてレジやシステム改修の違いを示したイラスト

0%が制度上不可能という意味ではありません。

政府が選んだのは、「0%にするよりも1%の課税取引として残す方が、既存のレジや会計・インボイス関連システムを早く変更しやすい」という考え方です。

その代わり、残る1%については別の支援制度を組み合わせ、「全体として実質ゼロ化」を目指す設計にしています。

つまり、

「レジでは1%」

「家計支援を含めた政策全体では実質ゼロを目指す」

は、同じ意味ではありません。


スーパーで買う食品は全部1%? 外食や酒はどうなる?

原則として、現在8%の軽減税率がかかっている飲食料品が1%の対象です。

逆に、現在10%の酒類や外食まで1%になるわけではありません。国税庁による現在の軽減税率の対象は「酒類・外食を除く飲食料品」で、大綱もこの範囲を基本的に引き継いでいます。 (国税庁 · 大綱本文)

スーパーの食品やテイクアウトは1%、外食や酒類は10%となる予定を比較した図
買い方・品目 法案成立後の予定税率 ポイント
スーパーの野菜・肉・魚・パンなど 1% 現在8%の飲食料品
スーパーの弁当・総菜 1% 持ち帰って食べる食品
飲食店のテイクアウト 1% 食品の譲渡として扱われる場合
レストラン・食堂の店内飲食 10% 外食は対象外
酒類 10% 現在と同じく軽減税率の対象外
ケータリング 10% 原則として外食等と同じ扱い
一定の定期購読新聞 8% 現在の軽減税率は維持

意外なのは新聞です。

現在、一定の定期購読新聞も軽減税率8%の対象ですが、今回1%に下げるのは「飲食料品」です。大綱は新聞について現行制度を維持すると明記しています。 (大綱本文)


家計の負担は実際いくら減るのか?

税率だけを見ると、8%から1%なので差は7ポイントです。

仮に対象となる食料品を毎月、税抜き5万円分購入しているとすると、消費税は現在の4,000円から500円になります。単純計算では月3,500円、1年間で4万2,000円の差です。

食料品の消費税率が8%から1%になった場合の家計負担軽減額を購入額別に示した図
対象食料品の税抜購入額 現在8%の税額 1%の税額 差額
月3万円 2,400円 300円 月2,100円
月5万円 4,000円 500円 月3,500円
月8万円 6,400円 800円 月5,600円

これは税率差だけを確認するための単純な例です。

実際の家計では、酒類や外食など10%のままの支出もあります。また、税率変更分が店頭価格にどのように反映されるかは、商品の本体価格の動きにも左右されます。

そのため「各家庭で必ず年間○万円安くなる」と一律には言えません。


「実質ゼロ」なら、残る1%は全員に返ってくるの?

いいえ。「1%分を買い物客全員にそのまま返す」という制度ではありません。

大綱では、1%の税率引下げと同時に「就業者負担軽減支援金」を導入し、中低所得の現役勤労者を中心に所得や税・社会保険料の負担などを見ながら支援する仕組みを想定しています。一定の条件を満たす働く高齢者も対象になり得る一方、単純な全国民一律給付とは異なります。 (大綱本文)

食料品の消費税1%と所得に応じた支援金を組み合わせて実質ゼロ化を目指す仕組みを説明した図

2027年度と2028年度に支給する支援金については、制度全体の費用が「飲食料品の消費税1%相当分」の範囲になるよう設計するとされています。

ただし、具体的な所得上限、所得下限、支援額などには今後決める部分が残っています。

「税率1%だから、レシートを持っていけば1%戻ってくる」という制度ではありません。


なぜ2年間だけで、2029年には8%へ戻すのか?

今回の1%は、恒久的な新税率ではなく「つなぎ」と位置づけられています。

政府は2029年度から、所得に応じて税や社会保険料の負担を軽くする本格的な給付制度を導入し、それに合わせて食料品の消費税率を8%へ戻す構想です。 (内閣官房)

2年間の食料品消費税1%から2029年度の所得連動型支援制度へ移行する流れを示した図

大綱では、この臨時措置を2029年度の本格制度導入までの「つなぎ」と位置づけ、2年間の終了後は食料品の税率を8%へ戻す方針です。 (自由民主党)

つまり政府が描いている流れは、

「全国の食料品を一時的に大きく減税する」

から、

「所得や負担状況を見ながら必要な人を重点的に支援する」

へ移す形です。


減税に必要なお金はどうするのか?

この点は、まだ細部まで固まっているわけではありません。

Reutersは、8%から1%への減税で年間およそ5兆円規模の税収減になると報じています。一方、政府は赤字国債には頼らず、補助金や租税特別措置など歳出・歳入を見直して財源を確保する方針を示しています。 (Reuters)

ただ、大綱の段階では具体的に「どの支出をいくら減らし、どの財源をいくら使うのか」まで一覧で示されているわけではありません。

税率だけでなく、財源をどう具体化するかも制度を理解するうえで重要な部分です。


もう決定した話? 2027年4月から必ず1%になるのか?

2026年9月20日時点では、「政府の方針は決まったが、法律はまだ成立していない」という段階です。

9月15日に大綱は閣議決定されましたが、国税庁の特設ページにも「今後、法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のもの」と明記されています。 (国税庁)

食料品消費税1%が大綱の閣議決定から法案提出、国会審議、成立へ進む手続きを示した図

政府は大綱を示したうえで、法案の国会提出と審議を経て成立した場合に制度を実施する段階にあります。 (国税庁)

したがって今の段階で覚えておきたいのは、

「2027年4月から1%になることを政府が決めた」

というより、

「2027年4月から1%にするための政府方針が固まり、これから法律を成立させる段階に入った」

という違いです。


ニュースほどきの一言まとめ

食料品の消費税1%は、「0%をやめて1%にした」という単純な話ではありません。

政府は、0%よりシステム改修を早く進められるとして税率を1%にし、2027年4月から2年間実施。その間に所得連動型の支援制度を立ち上げ、2029年度から本格制度へ移行する構想です。

スーパーなどで買う現在8%の対象食品は1%になる一方、酒類や店内での外食は10%のまま。さらに、現時点では大綱が閣議決定された段階で、実際の税率変更には国会での法案成立が必要です。


食料品の消費税1%、気になる疑問から読み解く

Q. 食料品の消費税1%はいつから始まりますか?

法案が成立すれば、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間です。現時点ではまだ法案成立前です。

Q. なぜ0%ではなく1%なのですか?

政府は、0%より1%の方が事業者のレジや会計システムの改修期間を短縮でき、2027年4月から実施しやすいと説明しています。

Q. スーパーで買う食品は全部1%になりますか?

現在8%の軽減税率が適用されている飲食料品が基本的な対象です。酒類など、現在10%のものまで1%になるわけではありません。

Q. レストランや居酒屋も1%になりますか?

店内で食べる外食は10%のままです。一方、飲食店から持ち帰るテイクアウト食品は、現在の軽減税率の対象となるものであれば1%になる予定です。

Q. お酒は1%になりますか?

なりません。酒類は現在も軽減税率の対象外で、今回の1%への引下げ対象にも含まれていません。

Q. 「実質ゼロ」とは税率が0%になるという意味ですか?

違います。店頭で適用する税率は1%のままです。所得に応じた支援金を別に組み合わせ、政策全体として食料品の税負担を実質ゼロ化するという考え方です。

Q. 1%分の支援金は全員が受け取れますか?

全員への一律給付ではありません。大綱では、中低所得の現役勤労者を中心に所得や税・社会保険料の負担などを見て支給する制度が想定されています。

Q. 2年後には本当に8%へ戻るのですか?

現在の政府方針では、2029年4月から8%へ戻し、所得に連動した本格的な支援制度へ移行する計画です。ただし、今後の法制化を経る必要があります。

Q. 食料品の消費税1%はもう正式決定ですか?

大綱は閣議決定されていますが、税率変更そのものはまだ法律として成立していません。法案の国会提出、審議、可決・成立が必要です。

今日のニュースほどき、理解の助けになりましたか?🙂
これからも、ニュースの「なぜ?」をやさしく、わかりやすくほどいていきます!


主な情報源

9月15日の大綱・法制化の現在地

内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除について」

国税庁「消費税率引下げ特設サイト」

1%にする理由・2年間の制度設計

自由民主党「食料品消費税『実質ゼロ化』へ 小野寺会長が『議長案』を説明」

自由民主党「飲食料品消費税率の臨時的な引下げと就業者負担支援金導入に向けた大綱を決定」

対象になる食品・外食・酒類の区分

国税庁「消費税の軽減税率制度」

財源・経済への影響

Reuters「Japan to sidestep funding in tax cut outline, keep fiscal concerns alive」

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