FA資格者104人が公示…名前が載った選手は全員移籍するのか?
「FA有資格者が104人」と聞くと、今年のプロ野球は大変なことになるのでは、と感じるかもしれません。
応援しているチームの主力選手まで名前が載っていたら、なおさらです。
「えっ、あの選手も移籍するの?」
でも、FA資格を持っていることと、実際に移籍することは別の話です。
2026年10月19日、日本野球機構(NPB)はFA有資格選手104人の名簿を公示しました。広島の森下暢仁投手や床田寛樹投手、ソフトバンクの周東佑京選手なども含まれています。(NPB · 日刊スポーツ)
では、この104人のうち、本当に移籍するのは何人なのでしょうか。
その答えを知るには、プロ野球のFA制度を少しだけ理解する必要があります。

※ 本文中の画像は、記事の理解を助けるためにAIで制作したイラストです。実際の写真ではなく、人物・場所・状況の表現が実際と一部異なる場合があります。
そもそも104人という数字は、何を数えたもの?
104人は、2026年にFAの資格を持っている選手の合計人数です。 今年初めて資格を取得した選手だけではありません。

NPBの発表を整理すると、次のようになります。
| 区分 | 2026年に新規取得 | 以前から資格を保有 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 国内FA | 21人 | 14人 | 35人 |
| 海外FA | 17人 | 52人 | 69人 |
| 合計 | 38人 | 66人 | 104人 |
つまり、104人のうち、今年新しくFA資格を得たのは38人です。
残る66人は、すでに資格を持っていた選手ということになります。
この人数はNPBが10月19日に発表した公式名簿に基づいています。(NPB公式発表)
ここで気をつけたいのは、国内FA35人と海外FA69人を、まったく別々の権利を持つ選手の単純な集合だと思わないことです。
海外FA資格を持つ選手は国内球団との契約も対象にできます。今回の名簿では、保有する資格の区分に従って35人と69人に整理されています。
104という数字だけでは、移籍市場がどれほど動くのかはわからないのです。
FA資格を持っていたら、必ず移籍するの?
いいえ。FA資格を取得した選手が全員FA宣言するわけでも、移籍するわけでもありません。
実は、この違いを数字で確認できる例があります。

2025年も、FA有資格者は104人でした。
ところが、NPBが実際にFA宣言選手として公示したのは、わずか8人です。
内訳は国内FA宣言が4人、海外FA宣言が4人でした。(NPB・2025年度FA宣言選手公示)
もちろん、2026年も同じ人数になるとは限りません。しかし、資格保有者と宣言者の間に大きな差があることはわかります。
そもそもFAには、少なくとも次の3つの段階があります。
| 段階 | 意味 |
|---|---|
| FA資格取得 | 他球団と契約するための権利を得る |
| FA宣言 | その権利を使う意思を正式に示す |
| FA移籍 | 交渉の結果、別の球団と契約する |
FA宣言した選手が、最終的に元の球団に残留することもあります。
実際、2025年にFA宣言した東浜巨投手はソフトバンクと、辰己涼介選手は楽天と契約しています。(NPB・2025年度FA宣言選手の契約結果)
つまり、FA宣言=退団決定でもないのです。
選手にとってFAは、球団を変えるためだけの制度ではありません。
今の球団からどのような評価を受けているのかを確かめたり、契約条件について改めて交渉したりする機会にもなります。
さらに、資格を持っていてもFA宣言をせず、そのまま現在の球団でプレーを続ける選手もいます。
名簿に名前が載ったというだけで、退団を心配する必要はありません。
2026年のFA資格取得者には、どんな選手がいる?
今年の新規取得者には、各球団の主力として知られる選手が含まれています。
特に広島では、床田寛樹投手、坂倉将吾捕手、森下暢仁投手の3人がそろって新たに国内FA資格を取得しました。
このほか、ロッテの小島和哉投手やソフトバンクの周東佑京選手なども国内FA資格を取得しています。
海外FAでは、西武の高橋光成投手、DeNAの佐野恵太選手、ソフトバンクの近藤健介選手らが新たに資格を得ました。(NPB公式名簿 · マイナビニュース)
主な新規取得者を整理すると、次の通りです。
| FA資格 | 球団 | 主な新規取得選手 |
|---|---|---|
| 国内FA | 広島 | 床田寛樹・坂倉将吾・森下暢仁 |
| 国内FA | ソフトバンク | 周東佑京 |
| 国内FA | ロッテ | 小島和哉 |
| 国内FA | オリックス | 宗佑磨・田嶋大樹 |
| 海外FA | 西武 | 高橋光成 |
| 海外FA | DeNA | 佐野恵太 |
| 海外FA | ソフトバンク | 近藤健介 |
※2026年10月19日公示の新規取得者から一部を抜粋したもので、移籍希望者の一覧ではありません。
ここで気になるのが、複数年契約を結んでいる選手も名簿に載っていることです。
例えば、周東佑京選手については、複数年契約中であることも報じられています。(共同通信)
なぜでしょうか。
それは、FA資格の取得条件を満たしたかどうかと、現在どのような契約を結んでいるかが、別々の話だからです。
資格を持っているからといって、現在の契約を自由に破棄して移籍できるという意味ではありません。
選手ごとの契約内容、FA宣言の有無、球団との協議を分けて考える必要があります。
国内FAと海外FAは、何が違うの?
国内FAと海外FAの違いは、契約できる球団の範囲です。

国内FAは、NPBに所属する日本の12球団と契約できる権利です。
一方、海外FAは、日本の12球団だけでなく、メジャーリーグなど海外のプロ野球球団も契約の対象になります。
| 比較項目 | 国内FA | 海外FA |
|---|---|---|
| 契約できる範囲 | NPBの球団 | 国内・海外の球団 |
| 海外球団との契約 | 国内FA権だけでは対象外 | 対象になる |
| 資格取得の基本条件 | 原則8シーズンなど | 原則9シーズン |
| 宣言後の選択肢 | 国内移籍・残留 | 国内移籍・海外移籍・残留 |
ただし、海外FA資格を取得したからといって、その選手がメジャーリーグに挑戦する予定だという意味ではありません。
海外FA資格の選手が国内球団に移籍したり、そのまま日本でプレーを続けたりすることもあります。
ですから、今回の「海外FA有資格者69人」という数字を、そのまま「海外移籍候補69人」と受け取るのは誤りです。
FA権は何年プレーすれば手に入る?「145日」の意味とは
FA権は、単純な入団年数だけで決まるわけではありません。
重要なのは、一軍の出場選手登録日数です。

NPBのFA制度では、原則として1シーズンに一軍登録が145日以上あれば、その年をFA資格の計算上の1シーズンとして数えます。
そして、必要なシーズン数を積み重ねることで資格を取得します。
基本的な条件は次の通りです。
| 資格 | 必要な登録シーズン数 |
|---|---|
| 国内FA | 原則8シーズン |
| 国内FA(対象となる大学・社会人出身選手) | 7シーズン |
| 海外FA | 原則9シーズン |
国内FAの7シーズンという条件は、2007年以降のドラフトで入団した大学生・社会人選手が対象です。
また、海外FAについては、過去に国内FA権を行使した選手などに別の取得条件があります。(NPB)
145試合に出場する必要があるの?
ここは誤解されやすいところです。
必要なのは、原則として年間145日の「一軍登録」であって、145試合に実際に出場することではありません。
一軍に登録されていた日数が資格計算の基準になるのです。
また、あるシーズンの登録が145日に届かなかった場合でも、条件を満たさなかった別のシーズンの登録日数を合算して計算できます。
故障者特例措置なども設けられているため、単純に一軍に何年間在籍したかだけでは判断できません。
FA権の取得時期が選手によって異なるのは、こうした登録日数のルールが関係しています。
FA宣言はいつ?10月19日から移籍交渉が始まるの?
10月19日に公示されたのは資格保有者の名簿であり、FA宣言選手の公示ではありません。
実際にFA権を行使する手続きは、日本シリーズ終了後に行われます。

NPBが定める基本的な流れは次の通りです。
- 日本シリーズが終了する。
- 終了日の翌日から、土・日・祝日を除く7日間以内に、FA権を行使する選手が所属球団へ意思を伝える。
- 申請期間が終わった翌日に、NPBがFA宣言選手を公示する。
- その公示の翌日から、元の球団を含む各球団との翌年度契約交渉が可能になる。
つまり、10月19日の名簿公示は、いわば本格的なFAの動きが始まる前の資格確認です。
誰が権利を使うかは、まだ別の問題なのです。
また、宣言期間の基準は日本シリーズが実際に終了した日です。
シリーズが何試合で決着するかによって、その後の日程も変わるため、2026年の宣言期限を現時点で固定した日付として考えるべきではありません。
FA移籍でよく聞く「人的補償」とは何?
FA移籍は、選手と新しい球団が契約すれば、それだけですべて終わるとは限りません。
国内球団間のFA移籍では、条件によって元の球団への補償が発生する場合があります。
そのとき重要になるのが、A・B・Cという年俸ランクです。

FA選手のランクは、基本的に元の所属球団での年俸順位によって分類されます。
| ランク | 旧球団での年俸順位 | 国内移籍時の補償 |
|---|---|---|
| Aランク | 1〜3位 | 金銭のみ、または金銭+人的補償 |
| Bランク | 4〜10位 | 金銭のみ、または金銭+人的補償 |
| Cランク | 11位以下 | 補償なし |
※外国人選手を除く年俸順位など、制度上の条件に基づく区分です。(日刊スポーツ)
ここでいう人的補償とは、FAで選手を獲得した球団が、元の球団に別の選手を補償として渡す仕組みです。
ただし、相手球団がどの選手でも自由に選べるわけではありません。
FA選手を獲得した球団は、一定の対象選手から守りたい28人を指定できます。これが「プロテクト」です。
元の球団は、その28人や制度上の対象外となる選手を除いた中から、補償対象選手を選ぶ仕組みになっています。
一方、Cランクの場合は、基本的に人的補償も金銭補償も必要ありません。
このため、同じFA選手でも、獲得を検討する球団側の負担は変わってきます。
なお、今回の104人について、NPBの有資格者名簿だけで各選手の補償ランクまで確定するわけではありません。
実際のランクや補償の有無は、契約条件などを踏まえて確認する必要があります。
海外FAがあれば、ポスティングなしでメジャーに行ける?
海外FAとポスティングシステムは、どちらも日本の選手が海外でプレーする道ですが、仕組みが違います。
海外FAは資格を得た選手が権利を行使する制度、ポスティングは所属球団の承認が必要な制度です。
| 比較項目 | 海外FA | ポスティング |
|---|---|---|
| 基本的な仕組み | 選手がFA権を行使 | 所属球団が手続きを承認 |
| 必要な条件 | 原則9シーズンの登録 | 海外FA取得前でも利用可能 |
| 球団の承認 | FA権行使そのものに承認は不要 | 所属球団の承認が必要 |
| 移籍に伴う対価 | 海外移籍ではFAの補償は発生しない | 所属球団に譲渡金が支払われる仕組み |
海外FA資格がまだなくても、所属球団がポスティングを認めればメジャー移籍を目指せます。
逆に海外FA資格を取得した選手は、FA制度の手続きに従って海外球団との契約を目指すことができます。
ただし、海外FA資格を持っているからといって、必ずメジャー球団と契約できるわけではありません。実際に契約が成立するかは別問題です。
今回、西武の高橋光成投手が新たに海外FA資格を取得したことが報じられました。
高橋投手は昨オフ、ポスティングシステムでメジャー移籍を目指したものの実現しなかった経緯があります。(共同通信)
だからこそ、海外FA資格の取得は、新たな選択肢を持つという意味で重要なのです。
ただし、これも海外移籍の決定を意味するわけではありません。
2026年のFA市場で、本当に注目すべきことは?
今後のポイントは、104人という人数よりも、誰が実際にFA権を行使するかです。
FAの動きを追うときには、次の順番で考えると混乱しません。
まず、NPBの有資格者名簿で、どの選手に権利があるのかを確認します。
次に、日本シリーズ終了後、どの選手がFA宣言をするのかを見ます。
そして、宣言した選手が元の球団に残るのか、国内の別球団に移るのか、それとも海外でのプレーを目指すのかを追うことになります。
獲得する球団にとっては、選手の実力や契約条件だけでなく、補償の負担も判断材料になります。
逆に元の球団にとっては、主力選手が残るのか、移籍によって戦力構成を変える必要があるのかが重要です。
2026年のFA市場が大きく動くかどうかは、104人という数字だけでは決まりません。
実際の宣言、交渉、契約という一連の動きが始まって、初めて全体像が見えてくるのです。
【結論】このニュースは、こう理解すればいい
2026年10月19日、NPBが公示したFA有資格者は104人でした。
内訳は国内FAが35人、海外FAが69人。そのうち2026年に新たに資格を得た選手は38人です。
ただし、これは104人全員がFA宣言する、あるいは移籍するという発表ではありません。
実際に2025年は104人が資格を持っていましたが、FA宣言したのは8人でした。
FA制度を理解するうえで覚えておきたいのは、次の違いです。
- FA資格取得は、権利を得た段階。
- FA宣言は、その権利を使う意思を示す段階。
- FA移籍は、交渉の結果として別の球団と契約すること。
この3つは同じ意味ではありません。
応援している選手の名前が名簿にあっても、それだけで退団が決まったわけではないのです。
2026年のFA市場で本当に重要なのは、日本シリーズ終了後、誰が権利を行使し、どのような契約を選ぶのかということです。
FA有資格者104人、気になる疑問から読み解く
Q. 2026年のFA有資格者104人は全員移籍するのですか?
いいえ。104人はFA資格を持っている選手の人数です。実際にFA宣言するか、移籍するかは別に決まります。
Q. 2026年に新しくFA権を取得した選手は何人ですか?
国内FAが21人、海外FAが17人の合計38人です。残る66人は以前から資格を保有していた選手です。
Q. 広島の森下暢仁、床田寛樹、坂倉将吾はFA移籍が決まったのですか?
いいえ。3人は2026年に新たに国内FA資格を取得した選手です。資格取得の公示だけで移籍の意思や移籍先が決まったわけではありません。
Q. FA宣言しても今の球団に残れますか?
はい。FA宣言後に元の球団と契約し、残留することもできます。FA宣言は退団決定を意味しません。
Q. FA権は一軍で145試合出場しないと取得できませんか?
いいえ。基本になるのは年間145日の一軍登録です。実際に145試合出場する必要があるという意味ではありません。
Q. 2026年のFA宣言はいつから始まりますか?
日本シリーズ終了日の翌日から、土・日・祝日を除く7日間以内に権利行使の意思を表明する仕組みです。具体的な日付はシリーズの終了日に左右されます。
Q. FA移籍では必ず人的補償が必要ですか?
いいえ。国内移籍では旧球団での年俸ランクなどによって補償が異なります。A・Bランクは補償対象となり、Cランクは基本的に補償がありません。
Q. 海外FA権を取得すれば、必ずメジャーリーグに行けますか?
いいえ。海外球団との契約を目指せる権利を持つという意味です。実際にメジャー球団と契約できるかどうかは別です。
今日のニュースほどき、理解の助けになりましたか?🙂
これからも、ニュースの「なぜ?」をやさしく、わかりやすくほどいていきます!