タイ入国が自動ゲートに、日本人は誰でも使える? 初回旅行では使えない理由
「日本人も、タイの入国審査を自動ゲートで通れるようになったの?」
では、次にタイへ行くときは長い入国審査の列に並ばなくてもいいのでしょうか。
ここには一つ、見落としやすい条件があります。日本のパスポートが対象になったからといって、日本人旅行者なら誰でもすぐに自動ゲートを使えるわけではありません。
9月21日の現地報道では、バンコクのスワンナプーム国際空港で、日本を含む対象国・地域の旅行者に入国時のAuto Gate利用が広がったことが確認されました。一方、初めてタイに入国する旅行者は、生体情報を登録するため有人カウンターでの審査が必要です。(タイランドハイパーリンクス · The Thaiger)
そしてもう一つ。
「自動ゲートになったなら、TDACも書かなくていいのでは?」
これは別の話です。

自動ゲートは「入国審査をどう通るか」の仕組みで、TDACは「タイに入る前に旅行情報を届け出る」仕組みです。
この二つを分けて考えると、今回の変更がかなり分かりやすくなります。
日本人なら誰でも自動ゲートを使える?

いいえ。現在報じられている運用では、「日本のパスポートを持っている」というだけで自動的に利用できるわけではありません。
9月21日時点の運用では、日本は対象国・地域に含まれています。ただし現在の対象は、ビザ免除で入国し、現在のパスポートで過去のタイ入国記録がある旅行者が中心です。初回のタイ入国では、従来どおり入国審査官のいるカウンターを通る必要があります。(タイランドハイパーリンクス · The Thaiger)
現在の条件を旅行者目線で整理すると、次のようになります。
| 確認項目 | 現在の考え方 |
|---|---|
| 日本のパスポート | 対象国・地域に含まれる |
| タイへの初回入国 | 原則として有人審査 |
| 過去にタイへ入国したことがある | 自動ゲートを利用できる可能性がある |
| TDAC | 自動ゲート利用でも必要 |
| パスポートを更新した直後 | 生体情報との再連携が必要になる場合があり、有人審査になる可能性がある |
また、9月21日の現地報道では、現時点の自動ゲート運用は主にビザ免除で入国する旅行者を対象とするとされています。長期滞在ビザなどを利用する場合は、有人カウンターを利用する前提で考えておく方が安全です。(The Thaiger)
ただし、ここには今後変わる可能性があります。
タイ政府が8月17日に発表した拡大計画では、追加で約650万人の短期旅行者と、約90万人の一部長期ビザ保有者が将来的なAuto Gate利用候補になると見込まれていました。つまり、制度は一度に完成したのではなく、対象や運用を段階的に広げている途中です。(タイ政府)
なぜ「初めてのタイ旅行」では使えないの?

理由は、自動ゲートが本人確認に生体情報を使うからです。
初回入国では、入国審査官が旅行者の顔写真や指紋などを登録し、パスポート情報と結び付けます。過去の入国時に登録された情報があれば、次回は機械がパスポートと顔などを照合できるため、自動処理が可能になります。(TrueID)
流れはシンプルです。
| 入国回数 | 主な手続き |
|---|---|
| 初めての入国 | 有人カウンターで本人確認・生体情報登録 |
| 次回以降 | 登録情報と照合できれば自動ゲートの利用対象 |
| パスポート更新後 | 新しいパスポートとの情報連携のため有人審査になる場合がある |
タイ政府の8月の発表でも、まず過去の入国で生体情報が登録されている旅行者からAuto Gateを利用できるようにし、初回旅行者は生体情報の取得が必要だと説明されていました。(Khaosod English)
つまり、「1回目だけ意地悪で自動ゲートを使わせない」という話ではありません。
最初に本人確認の基準となるデータを登録し、そのデータを次回の自動照合に使う仕組みなのです。
自動ゲートを使えばTDACは不要になる?

不要にはなりません。日本人を含む外国人旅行者は、自動ゲートを利用する場合でもTDACの提出が必要です。
Thailand Digital Arrival Card、略してTDACは、従来の紙の入国カードをオンライン化したものです。タイ入国管理局の公式案内では、原則としてタイ国籍以外の旅行者は入国前に提出し、到着日を含む3日以内の期間に登録します。(タイ入国管理局 TDAC公式サイト)
役割の違いはこう考えると分かりやすくなります。
| 手続き | 何をするもの? | いつ行う? |
|---|---|---|
| TDAC | 旅行・宿泊先などの情報を事前申告 | タイ到着前 |
| Auto Gate | パスポートと生体情報を使った入国審査 | 空港到着後 |
つまり、TDACを提出したから自動ゲートを使えるわけでも、自動ゲートを使うからTDACが不要になるわけでもありません。
なお、TDACの公式申請は無料です。タイ入国管理局は公式ページで手数料不要と案内しており、タイ政府も非公式の有料サイトに注意するよう呼びかけています。(タイ入国管理局 · タイ政府)
「出国の自動ゲート」と何が違うの?

ここは特に混同しやすいところです。
タイでは外国人の「出国」に使う自動ゲートは以前から広く開放されています。2023年12月15日から、スワンナプーム空港の国際線出国審査では、eパスポートを持つ旅行者は国籍を問わずAuto Channelを利用できるようになりました。(タイ入国管理局)
今回話題になっているのは、その反対側にある「タイへ入るとき」の自動化です。
| 入国時 | 出国時 | |
|---|---|---|
| 場所 | タイ到着後の入国審査 | タイ出発前の出国審査 |
| 外国人の利用 | 対象国・条件あり | eパスポートなら広く利用可能 |
| 初回入国者 | 原則有人審査 | 「初回入国」という条件は関係しない |
| TDAC | 必要 | 入国前手続きなので出国審査とは別 |
「前にバンコクで自動ゲートを使ったことがある」という人でも、それが出国時だったなら、今回の入国用eGateとは別の仕組みだった可能性があります。
なぜタイは今、自動ゲートを広げたの?

最大の理由は、入国審査の混雑です。
タイ政府によると、スワンナプーム空港では国際線の到着客が1日約7万人。午後1時から5時ごろのピークには、1時間あたり5,000〜6,000人が入国審査エリアに集中することがあります。(タイ政府)
有人カウンターだけで全員を処理すれば、航空便が集中した時間帯に列が急速に伸びます。
そこで、生体情報が既に登録されていて機械による本人確認が可能な旅行者をAuto Gateへ振り分け、係員は初回旅行者や追加確認が必要な人の審査に集中する、というのが今回の考え方です。
タイ政府は8月時点で、制度が十分に稼働すれば国際線到着客の約53%をAuto Gateで処理できる可能性があると説明していました。(タイ政府)
自動化そのものが目的というより、「機械で処理できる人」と「人が確認すべき人」を分けることで空港全体の流れを速くするわけです。
プーケットやドンムアン空港でも日本人が使える?
現時点では「タイの空港ならどこでも同じ」と考えない方がよさそうです。
今回9月21日に利用拡大が確認された中心は、バンコクのスワンナプーム国際空港です。プーケット空港では9月中旬、「33か国向けの自動入国ゲートが9月17日から始まる」との情報が出回りましたが、現地入国管理当局はシステムや生体情報の準備が整っていないとして、その日からの開始を否定しました。(The Phuket News)
つまり、「タイで日本人のeGate利用が始まった」からといって、地方空港でも同じ条件で使えるとは限りません。
バンコク以外から入国する場合は、その空港の案内を確認する必要があります。
次にバンコクへ行く日本人は、結局どうすればいい?
次回のタイ旅行では、次の順番で考えると混乱しにくくなります。
まず、タイ到着前にTDACを公式サイトから提出します。
スワンナプーム空港に到着したら、「Auto Gate」「Automatic Channel」などの表示を確認します。
過去に現在のパスポートでタイへの入国歴があり、現地で案内されている利用条件を満たしていれば、自動ゲートを利用できる可能性があります。
一方、初めてのタイ旅行、パスポート更新直後、ビザの種類などで自動処理の対象にならない場合は、有人カウンターへ進みます。
制度が拡大されたからといって、「絶対に自動ゲートへ行かなければならない」わけではありません。
現場で利用不可と表示された場合や条件が判断できない場合は、そのまま入国審査官のいるカウンターを利用すれば大丈夫です。
そして今回の制度は、対象やシステムを段階的に広げてきたものです。8月17日の政府発表では、設備や生体情報の準備状況に応じて導入を進める方針が示され、8月26日には入国管理局が33か国への拡大を承認し、AOTと設定・試験を進めていると発表されました。(タイ政府 · タイ政府広報局)
ニュースほどきの一言まとめ
今回変わったのは、バンコク・スワンナプーム空港の「タイへ入るとき」の自動入国審査です。
日本のパスポートも対象に広がりましたが、「日本人なら全員、次の旅行から自動ゲート」という意味ではありません。
初回旅行者はまず有人審査で生体情報を登録する必要があり、TDACもこれまでどおり必要です。
一方、条件を満たす再訪者が自動ゲートへ移れば、有人カウンターの混雑も軽くなる可能性があります。
「入国審査がなくなった」のではなく、「人が確認する人と、機械で確認できる人を分けるようになった」と考えると分かりやすいでしょう。
タイ入国 自動ゲート、気になる疑問から読み解く
Q. 日本人はスワンナプーム空港の自動入国ゲートを使えますか?
はい。9月21日時点で、日本はスワンナプーム空港の入国用Auto Gate対象に含まれています。ただし、ビザ免除での入国や過去のタイ入国記録など、現在の利用条件を満たす必要があります。
Q. 初めてタイへ行く日本人もeGateを使えますか?
はい。初回入国者は原則として有人カウンターで審査を受けます。Auto Gateで照合するための生体情報を最初に登録する必要があるためです。
Q. 以前タイに行ったことがあれば必ず使えますか?
必ずとは限りません。現在のパスポートとの情報連携、入国資格、システムの判定などによって有人審査になる場合があります。
Q. パスポートを更新した場合はどうなりますか?
新しいパスポートに替えた場合は、生体情報とのひも付けを更新するため、最初の入国で有人カウンターへ案内される場合があります。
Q. eGateを使うならTDACは提出しなくてもいいですか?
いいえ。TDACと自動入国ゲートは別の手続きです。日本人を含む外国人は、原則としてタイ入国前にTDACを提出する必要があります。
Q. TDACの申請には料金がかかりますか?
タイ入国管理局の公式TDACシステムでの申請は無料です。タイ政府は有料の非公式サイトに注意するよう呼びかけています。
Q. 出国するときの自動ゲートも33か国だけですか?
いいえ。スワンナプーム空港の出国用Auto Channelは、2023年12月からICAO基準のeパスポートを持つ外国人にも国籍を問わず広く開放されています。
Q. プーケット空港でも同じように使えますか?
現時点でスワンナプーム空港と同じ運用がタイ全空港に一斉導入されたわけではありません。利用する空港ごとの最新案内を確認する必要があります。
今日のニュースほどき、理解の助けになりましたか?🙂
これからも、ニュースの「なぜ?」をやさしく、わかりやすくほどいていきます!
主な情報源
Auto Gate拡大の政府方針・混雑対策
タイ政府「スワンナプーム空港のAuto Gate対象拡大と混雑対策」
9月21日時点の運用状況・利用条件
タイランドハイパーリンクス「スワンナプーム空港の入国Auto Gate、日本人も利用可能に」
The Thaiger「Suvarnabhumi Opens Arrival E-Gates to Travellers from 33 Nationalities」
TrueID「Auto Gate ขาเข้า 33 สัญชาติ」
TDAC・出国時の自動ゲート
タイ入国管理局「Thailand Digital Arrival Card FAQ」
タイ入国管理局「Automatic Channel for e-Passport holders」
他空港への展開状況
The Phuket News「Airport Immigration rules out Sept 17 automated passport gates rollout」